シリーズ 人間工学(エルゴノミクス)とは その2
いつ頃から自分(人間)のことを考えてものを作るようになったのでしょう
人間のことを考えてものを作る方法が人間工学(エルゴノミクス)です。それはいつ頃からでしょうか。
カイロ博物館にはツタンカーメン(紀元前14世紀第18王朝の王)が子供のころに使った椅子があります。これにはフートレスト(足置き台)が用意されていますが、フートレストによって、大きすぎる椅子を子供にアジャストするという考え方です。いまから3千年以上前にそういう考え方があったのです。
写真1
イタリア・トリノのエジプト博物館には、比較的保存のよい木製椅子(Kha の椅子) があります。この椅子の背当ては、傾斜していて、着座した人に快適な座り心地を提供しております。 この背当ての傾斜も、座るひとへの配慮です。
日本も歴史に残る実績があります。13世紀の道元禅師(日本の曹洞宗の開祖(1200ー1253))の教え「普勧坐禅儀」には、坐禅を坐法とし、正身端坐としております。道元禅師は、この坐法で座蒲を腰の下に敷くことを提唱しました。結果として、この座蒲は、その姿勢とあいまって身体の安定性を高めることに寄与しております。また、この座蒲は、それを用いる人の身体形状に合わせてサイズを調整することが現在まで行われているのです。
写真2
そして16世紀前後になりますが、ミケランジェロの建築のデッサン*の中に、人を描いているばあいがあります。机とイスの相互の関係寸法に注意を払って描かれたものと想像されます。
* Michelangelo : Studi per i banchi e la scala della Biblioteca Laurenziana. Firenze. Casa Buonarroti
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- 人間工学入門その1 何のためにあるのでしょうか
- その2 いつ頃から人間のことを考えてものを作るようになったのでしょう
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- 目次と趣旨
- 第1章 看護のためのエルゴノミクスとは
- 第1章 1.2 人間工学で必要な人体の知識 1.3 ICTの活用
- 第3章 看護師の動きを時間で測る
- 第4章 患者の満足を調べる
- 第5章 病室の患者のゆとりを測る
- 第6章 椅子・パソコンと健康障害
- 第7章 医療ミス