第一章 看護人間工学とは 2018

看護のための人間工学(エルゴノミクス 入門

第1章 看護のための人間工学(エルゴノミクス)とは  工事中

看護のための人間工学注1 とは、

患者にとっては、 より快適な療養環境を与えるための用具・装置や居住環境を、使い勝手のよさに合うように設計・調整するための学問

医療・看護にとっては、 サービス提供のし易さの上から装置などを設計・調整するための学問

である。

看護のエルゴノミクスの元祖は F. ナイチンゲール(1820〜1910)である。

ナイチンゲール__img_1547

表1.1 看護覚え書きの章構成 青色がエルゴノミクスに関係している

表1.1ナイチンゲール

表1.2 第8章 ベッドと寝具類の内容

表1.2

注1

日本では人間工学と訳されることも多いが、世界的に見ればエルゴノミクスという言葉が一般的である。アメリカでもヨーロッパでも、アジアでも同様である。人間工学という言葉は1920年代には既に使われており、古くから存在すると言える。日本ではいずれの言葉も通じるが、本書では国際的に通用するエルゴノミクスで統一する。

ミニ情報

エルゴノミクスは図1.1のように、4つの学問領域を土台として成立した学問である。

図1.1基礎となる科学技術

図1.1 エルゴノミクスを支える4つの学問領域

エルゴノミクスでは人間と人間が取り扱うマシーンを一つのまとまり(系)として考える (これを人間機械系という) 。系はシステムと訳され、人間機械系はマン・マシンシステムとも呼ばれる。これが全体の枠組みとして存在し、それを各方面から研究している。その目的は、人間の生理的・心理的・または動作・行動の特性に適合した機械やシステムを設計することである。なお、ここで言う機械は工場にあるような種類のものだけではない。看護の分野で使われる医療機械、車椅子のような機器やベッド、生活の中で使われる自動車なども含めた広義の機械である。(注1終わり)

エルゴノミクスで病院を見ると

上で述べた人間と人間が取り扱うマシーンを一つのまとまりとして考えるとはどういうことか。

病院で考えてみよう。

病院の中の人

機械

環境

これらを表1.3 のように一覧表として示す。

表1.3 看護の場でのひと・もの・環境

表1.3

看護のためのエルゴノミクスとは、このようなひとやもの(マシーン) を対象とする学問である。特にそれらの間の「関係」が重要なポイントである。関係というと、なーんだそうなのかと簡単に思われそうなので、付け加えておく。ひととものそして環境の間の関係により、ひとはなんらかの感情を持つ。従って関係は重要である。図1.2-1 は、ここで述べたことを関係を強調するために図に示したものである。

図1.2看護MMシステム

図1.2.-1 院内エルゴノミクスのひと・もの・環境の関係(旧)

この図は、基本である。しかし、2018年、教科書を改訂するに際して、より現状を反映した図を作ってみた。それが、図1.2-2 である。

図1.2左 院内から院外へ環境の変化 2018 黒白

図1.2-2 看護におけるひととモノの関係 そして人間工学の貢献

図1.2-2は、2018年現在の実態を反映した。看護を取り巻く環境が急速にそして大きく変化していることが示されている。また人間工学がどういう点で必要かということも示している。

人間工学は「ひととものの関係」が基本である。

表1.4  ものとひとの寸法の対応 医療に関して

ひともの関係の一覧表

表1.3は、病院内と訪問看護・介護老人保健施設における実例である。

幾つかの実例

次の例は、病院内と訪問看護・介護老人保健施設における実例である。

表1.4 事例一覧表 ひと・もの・環境の関係の例 演習は、授業の一環として行う

表1.4

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