最近普及してきました

あっても良いがなくてもよさそうなどと複雑な気持ちになる波型階段の手すりです。

七十歳からのおすすめ商品には、踏み台もそうですが複雑な気持ちにさせられるものが多いようです。

波型の手すり(商品名クネットhttp://www.qunetto.co.jp/about/) 滋賀県立大学人間融合工学チームとの共同研究なので悪かろうはずありません。九大や神奈川県リハビリテーション支援センターの報告(トイレの立ち上がりなど)も好意的です。中小企業も大学の力を借りてでもこういった独自の商品開発には喝采を送りたいところです。最近は、目立ちます。JR原宿駅から千代田線に向かう階段、有楽町東京フォーラムへの地下鉄からの連絡路など。写真1

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写真1 JR高田馬場駅近くの新宿区の施設 こういうとこには向いていると思います

私なりの結論ですが:

階段を一歩一歩確かめながら上下する高齢者や障碍者にはよいかもしれません。

しかし、階段を普通のスピードで上下する人でしかも念のための手すりを必要とする人には必要なさそうです。それは、移動しながら、波型の水平部分では手の力を下に押す。傾斜部分では体を引っ張ると区切って動作することは、元気な人ならばほとんどしないからす。たとえば、70歳過ぎた筆者はそうです。波型の手すりでは、動作の流れを中断。阻害するからです。感覚としては、凹凸が邪魔な感じがします。

それよりも、素材に一工夫すれば現行の直線の手すりでもよさそうなのですが、公共施設では難しいでしょうか。一工夫とはすべり防止として摩擦力を高める表面処理をするとか他の素材で被覆することです。

さて以上の結論の根拠です。

図をご覧ください。

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図 手すりの力学 職場の人間工学(野呂影勇著) 83ページ

階段の上下では異なりますが、ここでは上るときを例とします。上る動作は体重移動をともなうので、手すりを使います。その動作は、図のA(体を安定)とB (体を上る方向にひきつける)に分解できます。したがって、トイレのL形手すりは、便座から立ち上がる時にとても有効です。階段を上る時は連続動作ですから、人は、AとBとを分けては行いませんので、この有効性はかなり低くなると思います。人の動作を理解するときの難しいところです。

実は波型の手すりには前から親しんでいます。次の写真2をご覧ください。

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写真2 シュトラッサ―教授邸(ミュンヘン)の波型手すり

これは、波型でしかも適度な摩擦のあるロープなので便利で心地よいです。